第23回(2007年)受賞者 / 先端技術部門 / 材料科学 |
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井口洋夫 (Hiroo Inokuchi)日本 / 1927年2月3日 |
「有機分子エレクトロニクスへの先駆的・根幹的貢献」
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贈賞理由 |
有機分子エレクトロニクスへの先駆的・根幹的貢献井口洋夫博士は、1940年代後半から複数のベンゼン環を含む有機分子に着目し、分子間の電気伝導に関する先駆的な研究を進め、これが半導体的な性質を示すことを初めて見出した。さらに、有機分子群に電子受容性物質を加えると、電気伝導率が飛躍的に高まり、有機の伝導体となることを発見し、有機物質の電気伝導性に関する科学の礎を築いた。さらに、井口博士は、多種の有機物質を対象に光電子分光計測を先導的に進め、それらの電子構造を系統的に明らかにした。井口博士は、これら一連の研究により、有機物質の電子的な性質や機能を理解し活用する上で必須の学術基盤を築き、有機分子エレクトロニクスのその後の発展に根幹的な貢献を果した。 井口博士は、1950年前後に、赤松秀雄博士と共同でベンゼン環を9個含む有機物であるビオラントロン分子間の電気伝導特性を体系的に調べる先駆的研究を行い、この有機物質が、無機物質と同様に、半導体的な伝導性を持つことを見出した。さらに、ペリレンなどの有機物質に臭素やヨウ素などの電子受容性物質を添加すると、2成分の間で電子が移動し、電荷密度の高い電荷移動錯体が形成されて、電気伝導率が桁違いに高まることを、赤松博士と松永義夫博士と共同で発見した。これらの先駆的研究が契機となり、その後半世紀にわたって導電性有機物質に関する科学が著しく進展し、それを利用する新たな技術体系の基盤も確立された。さらに、井口博士は、有機物質の電子構造を解明するために光電子分光の研究を系統的に進め、多くの有機物質に関し、そのイオン化エネルギーなどを決定した。この研究で得られた電子構造に関する系統的な知見は、その後に有機発光素子(EL素子)などを設計・実現する上でも重要な役割を果している。 これら井口博士の先駆的研究は、その後半世紀にわたり著しく発展してきた導電性有機物質に関する科学の礎となった。また、有機物質の電子的機能を活用する技術の誕生と発展の基盤ともなり、有機EL素子や有機トランジスタへの応用など有機分子エレクトロニクスの確立に根幹的な貢献をなした。さらに、井口博士は、有機分子の科学と技術の分野において優れた人材と研究グループを育て、電子機能性有機物質の世界的研究拠点を築き、国際的な学術交流にも大きく貢献している。 以上の理由によって、井口洋夫博士に先端技術部門における第23回(2007)京都賞を贈呈する。 |