第23回(2007年)受賞者 / 思想・芸術部門 / 映画・演劇 |
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ピナ・バウシュ (Pina Bausch)ドイツ / 1940年7月27日-2009年 |
「舞踊と演劇の境界線を打破し、舞台芸術の新たな方向性を示した振付家」
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プレス資料 |
ダンスと演劇の領域を超え、舞台芸術の新次元を拓いた振付・演出家「人がどう動くかではなく、何が人を動かすかだ」と語るピナ・バウシュ氏は、常に肉体を突き動かす内面の力に耳を傾ける。ドイツ表現主義舞踊のスタイルを継承しながらも、モダンダンスの身体表現と演劇的手法を取り入れ、独自の総合舞台芸術を確立した。 両親が経営する小さいレストランで飛び跳ねて遊んでいるうちに、バレエ教室へ通うようになったというバウシュ氏。話すことがあまり得意でなかったため、身体の動きを通じてフィーリングを表現することが自分の性格にはあっていたと回想する。 ドイツ表現主義舞踊を発展させたクルト・ヨースや、ニューヨークで心理主義的なバレエを創作したアントニー・チューダーらの生き方や人間性に強い影響を受け、クラシックバレエのステップとは全く異なる独自の方向性を追求し、総合舞台芸術である「タンツテアター」(ダンス・シアター)という一様式を確立した。ヴッパタールでオリジナル作品を発表し始めた当初は、伝統的バレエのスタイルを支持する地元の観客からは痛烈な批判を浴びたが、1977年、フランスのナンシー演劇祭での上演により国際的な注目を集め、以後ヨーロッパを中心に世界ツアーを開始する。1984年のニューヨークデビュー公演では、『春の祭典』『カフェ・ミュラー』『青髭』『1980年―ピナ・バウシュの世界』で、満員の観客に鮮烈な印象を与えた。 作品の一貫した主題は、「人間とは何か」「人間と人間が理解しあうことの困難さ」。孤独や疎外、男女間の葛藤、個人と社会との対立等、現代に生きる人間にとって普遍的で切実な問題を、時には暴力的で、過激とも映る身体の動きと言葉によって表現する。土や水、花など、自然物をダイナミックに配した舞台美術でもよく知られている。ヨーロッパ、アジア、南米など国籍も様々なレギュラー・ダンサー30名と一つの舞台を創り上げるプロセスは独創的だ。「人がどう動くかではなく、何が人を動かすかだ」という有名な言葉に象徴されるように、ダンサー一人ひとりにおびただしい質問をぶつけるところから作業は始まる。ダンサーは言葉やしぐさ、即興のダンスで応答し、こうした対話の中から表現方法を見出していく。「観客と共有できるものを常に探し求めている」と語るバウシュ氏の演出は、観客の記憶や感性を直接刺激し、内奥の情動を強く揺さぶって止まない。そのステージを1度「体験した」観客が瞬く間に熱狂的ファンに変わる所以でもある。 ヴッパタール舞踊団は現在、地元で年30回、国内外のツアーで年間30〜40回公演し、毎年5月には新作を発表する。来日公演は1986年以来、すでに90ステージ以上を数える。 舞踊を取り巻く観念的な思想やイメージから自由に解き放たれ、ごく日常的なモチーフから人間の意識の中へと踏み込んでゆくバウシュ氏の芸術は、21世紀のダンスシーンをリードし続けている。 詳細は業績ページをご覧下さい。 |