第27回(2011年)受賞者 / 先端技術部門 / 材料科学 |
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ジョン・ワーナー・カーン (John Werner Cahn)アメリカ / 1928年1月9日 |
【スピノーダル分解理論の構築によるアロイ材料工学への多大な貢献】
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プレス資料 |
スピノーダル分解理論の構築によるアロイ材料工学への貢献スピノーダル分解とカーン博士の材料工学への貢献 均一に混じっている状態の2種類の成分でできている物質が、急速に冷やされると、相分離と呼ばれる現象を起こすものがある。すなわち、配合比や冷却速度によっては、混じり方が不均一になって、2種類の成分の微細な粒子が交互に絡み合ったような構造になる。この現象をスピノーダル分解という。このような相分離現象のプロセスを体系化し、理論として完成させたのがカーン博士である。 一方、広く一般に使用されている力学的特性(主に強度)を要求される構造材料やその他の電気的特性や光学的特性を要求される機能材料は、ほとんどの場合、複数の成分を組み合わせて作られるアロイ(混合系)材料である。このような材料の開発においては、最適な成分の選択と材料の微細な構造を決定することが必要である。スピノーダル分解を伴う材料開発においても、カーン博士がその設計指針を提示する前は、求める特性が得られるまで試行錯誤を繰り返す以外に方法はなかった。カーン博士が、2つの相に分離する物質において、スピノーダル分解に基づき、どのような条件でつくるとどのような組織になるかを予測できるモデルを提示したことで、開発期間の大幅な短縮に繋がり、優れた新材料の開発に大いに貢献してきた。現在では、カーン博士の研究を基礎として、最近の理論を取り入れたコンピュータでシミュレーションするフェーズ・フィールド法と呼ばれる方法が広く使われている。 スピノーダル分解を利用して作られた材料の実例 *耐熱ガラス *部分安定化ジルコニア・セラミック *ABS樹脂 スピノーダル分解に関する研究の流れ スピノーダル分解の現象があることは、19世紀には、すでに経験的に知られていた。しかし、それがなぜ起こるのか、どのようにコントロールするのか等、理論的なことは全くわかっていなかった。スピノーダル分解と命名したのは、1910年にノーベル物理学賞を受賞したオランダの物理学者、J.D.ファンデルワールス博士である。そして、1956年にスウェーデンのM.ヒラート博士が、初めてスピノーダル分解を理論的に説明したが、実際の材料合成過程にそのまま適用できるものでなかった。カーン博士はJ.ヒリアード博士とともに、そのモデルを3次元に拡張し、さらに重要な因子である弾性歪みの項を導入してモデルを完成させ、1961年に提案した。これにより、スピノーダル分解を実際の合成材料開発に適用できるようになり、材料科学や素材産業の発展に大きく寄与するところとなった。 詳細は贈賞理由ページをご覧下さい。 |