編集後記

Vol.5 2021.7.7

 

 最近、世間の喧騒から距離をおきたいときに、高田渡をよく聴いています。7月7日、七夕にちなんで『ブラザー軒』を紹介します。菅原克己という詩人の作品を少しだけアレンジし、高田渡がメロディーをつけた曲です。たなばたの夜に、語り手の「ぼく」が氷水を喰べていると、まぼろしのなかに死んだ父と妹が現れます。(F)

 初めてEメールを受けとったのは、大学に入学した時、もう15年以上前のことです。封筒のアイコンをクリックして、紛れもなく「その人」の口調で画面に言葉が現れた時、手紙を開いた時に感じるのと同じシンプルな嬉しさと、新しいテクノロジーにふれた不思議な高揚感とが、一緒になって流れ込んできたのを覚えています。

 いつの間にかEメールは当たり前のものとなり、日常のコミュニケーションでは、LINEなどのSNSアプリが全盛期。昨年はZoomをはじめとするオンライン会議システムを使ったコミュニケーションも急速に広がって、初めて話す人からの「Nice to “e”-meet you!」なんてチャーミングな挨拶も聞くようになりました。離れて過ごす方に伝える手段がたくさんあるなかで、あらためて、Eメールのもつほどよい器を心地よく思います。詳しい情報、深さのある内容、省略できない思いを込めた長文をも、ひと包みにして瞬時に届けてくれる寛容さは、なかなか代えのきかない存在です。

 稲盛財団のメールマガジン「稲盛財団 Magazine」そして英語版の「Inamori Foundation e-Newsletter」は、昨年の4月にスタートしました。稲盛財団の活動に関心を向けてくださる方に、最新のニュースや、活動のなかで生み出される物語を、軽やかにお伝えしたい。そして、メールを開封してくださった人の心が、ほんの少しでも明るくなったり、楽しさを感じたり……そんなコンテンツをEメールに載せてお届けしたいと、編集者たちはいつも思っています。(I)