公益財団法人稲盛財団(理事長 金澤しのぶ)は3月13日、2026年度稲盛科学研究機構(InaRIS: Inamori Research Institute for Science)のフェローを発表しました。2026年度InaRISフェローは、「非平衡科学の展開」で公募を行い、35名の応募者の中から、川口喬吾氏(理化学研究所 開拓研究所・主任研究員)と沙川貴大氏(東京大学 大学院工学系研究科・教授)の2名が選ばれました。フェローには、毎年1,000万円を10年間、総額1億円を助成します。
2026 InaRIS Fellow
川口 喬吾 Kawaguchi, Kyogo
理化学研究所 開拓研究所 主任研究員
| 研究テーマ | インテリジェントマターの創発原理の解明 |
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| 研究の概要 | 生き物はエネルギーを使って自分の状態を保ち続けています。物理学ではこれを「非平衡系」と呼びますが、川の流れや天気の移り変わりも同じく非平衡です。では、生命は何が特別なのか?私は、生命がただエネルギーを使うのではなく、環境に応じて「うまく」使っているところ、いわば知的な物質である点にこそ鍵があると考えています。この「インテリジェントマター」の物理を探究することで、生命とは何かという問いに、新しい角度から光を当てたいと思っています。 |
2026 InaRIS Fellow
沙川 貴大 Sagawa, Takahiro
東京大学 大学院工学系研究科 教授
| 研究テーマ | 非線形・非平衡トポロジーとその熱力学への応用 |
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| 研究の概要 | 非線形性や非平衡性は、生物から量子まで多彩な系で重要な役割を果たします。本研究では、非線形・非平衡系を「トポロジー」の観点から解析し、擾乱に強い安定なふるまいが生まれる原理を解明します。とくに古典確率過程や非線形振動子など、従来トポロジーがあまり議論されてこなかった対象に注目し、新たなトポロジカル物理の地平を拓きます。さらにそれを熱力学へと応用し、省エネルギーな熱機関・情報処理の設計原理を提案します。 |