自然科学分野と人文・社会科学分野の研究者を支援する「稲盛研究助成」の助成金贈呈式と、これまでの助成対象者の交流を目的とした「盛和スカラーズソサエティ(3S)」の交流会が4月18日、ホテルグランヴィア京都(京都市下京区)で開かれました。今年は「はぐくむ」「たかめる」の二つのコースを新設してから初めての贈呈式となりました。また、贈呈式後には3S会員(過去の助成対象者)によるポスター発表が行われ、幅広い分野の研究者たちが知見や情報を共有しました。
稲盛研究助成は、独創的で将来性のある研究活動を自由に行ってもらいたいという思いのもと、できるだけ束縛のない形で研究資金を提供する助成制度として、1985年から毎年実施しています。2026年度より拡充し、研究の段階に応じて支援する二つのコース「はぐくむ」「たかめる」を開設しました。毎年、「はぐくむ」では50人、「たかめる」では10人が助成対象者として選ばれます。
贈呈式では、稲盛財団の金澤しのぶ理事長が「皆さまの研究が今後新たなるものの見方や技術の創出につながり、やがてその成果が社会に広く還元され、持続可能な社会の創出や人々の生活の向上に貢献することを願っている」とあいさつした後、「はぐくむ」コースを代表して東北大学大学院理学研究科の芦田洋輔さんに、また「たかめる」コースを代表して九州大学大学院理学研究院の音野瑛俊さんに贈呈書を手渡しました。
その後、各コースの助成対象者の代表者によるあいさつが行われ、「はぐくむ」の京都大学大学院薬学研究科の有地法人さんは「独自の有機化学を追求しながら、創薬に貢献することを目指している。『はぐくむ』というコース名称のとおり、自身の開発した技術を着実にはぐくみ、次世代の医薬品の創生へとつなげていきたい」と語りました。続いて、「たかめる」の東京科学大学総合研究院の加藤一希さんは「高い倍率の中で採択いただいたからには、提案した内容以上の研究成果を上げて、そしていずれはそれを社会に還元していく」と決意を述べました。
3S交流会では、まずポスター発表を行う3S会員の23人が、ひとり1分ずつ発表のポイントを説明する「フラッシュトーク」が行われました。ポスター発表が始まると、専門の異なる研究者たちが集まって熱心に耳を傾け、発表者に質問をしたり意見を交わしたりしていました。
プログラムの最後には懇親会が行われ、3S会員と選考委員の先生方が和やかな雰囲気の中で会話を楽しみました。稲盛財団会長の中西重忠・京都大学名誉教授は、乾杯のあいさつで「稲盛財団として、支援を受けた皆さんにはのびのびとおおらかな気持ちで活用していただきたいと考えている」と述べました。さらにAI技術の台頭に触れ、「必ず自身の知的興味、知的好奇心というものを十分に考えた上で、その興味を元に有効な手法であるAIを使っていく、のまれるのではなく利用していくことが大事。新しい手法が出た時代にそれを意識しながら、稲盛財団が大事にしている、皆さんの知的好奇心をサポートしたいという考えを理解して頑張ってほしい」と激励しました。
