
稲盛財団は、2025年8月から11月にかけて、京都府内各所にて「INAMORI ミュージック・デイ 2025」を開催しました。
今年で4回目を迎えたこの取り組みは、学生や一般の方々に、文化芸術のすばらしさを再発見し、人生をより豊かにしていただくための機会を提供したいという思いから生まれました。毎年11月3日「文化の日」に、京都市交響楽団と招聘アーティストによるシンフォニックコンサートを開催しているほか、美術館でのミニコンサートや、京都府内の高校でのスクールコンサート&レッスンを行っています。
国内外で活躍する指揮者の出口大地氏、ピアニストの牛田智大氏が出演したシンフォニックコンサートをはじめ、今年の各イベントの様子をご紹介します。
「INAMORI ミュージック・デイ 2025」ミニコンサート
8月24日・9月4日・10月12日の3日間で開催したミニコンサートには、京都市交響楽団メンバーが弦楽三重奏、木管三重奏、フルート四重奏と各日異なる編成で出演。京都市京セラ美術館の中央ホールでクラシックからジャズ、現代音楽まで幅広いジャンルの曲目を披露しました。各回、立ち見も出るほどの盛況ぶりで、アンコールを含めた演奏後は盛大な拍手が送られました。
※各日の出演者や曲目の詳細はこちらをご覧ください。


「INAMORI ミュージック・デイ 2025」スクールコンサート&レッスン
10月30日には、出口氏、牛田氏が京都府立南陽高等学校を訪問。牛田氏によるピアノコンサートと、出口氏による吹奏楽部へのレッスンが行われ、附属中学校を含む全校生徒約900名が参加しました。
牛田氏のコンサートでは、ショパン作曲「舟歌 op.60」とシューマン作曲「子供の情景 op.15 – 第7曲 トロイメライ」の2曲が演奏されました。牛田氏がピアノの前に座った途端、会場の体育館は静寂に包まれ、演奏が始まると生徒たちはその美しいメロディに真剣な面持ちで耳を傾けていました。

演奏に続いて行われたQ&Aのコーナーでは、生徒から直接、お二人にさまざまな質問が投げかけられました。「地道な練習を積み重ねていくために大切にしているモチベーションはありますか」との質問には、牛田氏からは「何か一つのこと、一つの作品だけに集中しない。勉強でも同じかもしれないが、同じ分野でも違うことを織り交ぜながら時間を使う」、出口氏からは「モチベーションを切り離すこと。やる気がない時でも、30分間勉強したら10分間休憩と時間を決めて繰り返す。ご褒美の時間も入れつつ、やらざるをえない仕組みを作ると良いかもしれない」と、学校生活のヒントにもなるような回答がありました。

出口氏による吹奏楽部へのレッスンでは、最初に出口氏が部員や観衆の生徒と一緒に体をほぐして、リラックスした雰囲気で始まりました。レッスンの曲目はヴェルディ作曲「歌劇『運命の力』序曲」。出口氏は「音楽に正解はなく、いろいろな音楽の感じ方がある」と前置きした上で、歌劇の解説を挟みつつ、「修道院の鐘を鳴らすように」や「切迫した状況で逃げている感じ」といった演奏のイメージを伝えながら指導を行いました。

参加した生徒は、牛田氏のコンサートについては「プロの演奏をこんな距離で聞けてすごくうれしかった」「心にぐっときた」、出口氏のレッスンについては「これまでとは違う曲の捉え方、音楽の作り方を教えてもらい、内容の濃い30分だった」「全員が楽しめるように教えてくださったのが良かったし、自分たちの音も一気に変わった」と、生き生きした表情で感想を語ってくれました。
「INAMORI ミュージック・デイ 2025」シンフォニックコンサート
一連のイベントの締めくくりは、11月3日「文化の日」に京都コンサートホールにて開催されたシンフォニックコンサート。出口氏、牛田氏が京都市交響楽団と共演しました。
1曲目のショパン作曲「ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 op.11」では、牛田氏による繊細で流れるような、そして時に力強いピアノ演奏と京都市交響楽団のオーケストラが見事なハーモニーで会場を魅了しました。鳴り止まない拍手に応え、アンコールでは牛田氏のソロによるショパン作曲「夜想曲 第17番 ロ長調 op.62-1」が披露されました。

後半は、チャイコフスキー作曲「交響曲 第5番 ホ短調 op.64」。出口氏の指揮と京都市交響楽団のオーケストラによる壮大な演奏に、惜しみない拍手が送られました。最後は、アンコールとしてビゼー作曲の小組曲「子供の遊び」より「ギャロップ」が演奏され、コンサートは幕を閉じました。

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