
ウラジオストクの自由港の研究を始めたころ、日本経済史の大家である山本有造先生に相談に行ったのだが、その際「僕だったらまず、世界の自由港の歴史をざっとまとめるね」と言われ、返事に困ったことを覚えている。その後、もっぱらロシアの自由港の歴史を、それが「自由港」と呼びうるものなのかもどうかも含め、研究してきたが、最近になって、やっと「自由港の世界史」の手掛かりをつかむことができた。そんな折、稲盛財団から助成を頂けたので、まずはアジアの比較から始めたいと思う。_x000D_
近代アジアの自由港は、自由貿易と帝国主義の結節点である。両者の関係については、ギャラハーとロビンソンの有名な自由貿易帝国主義論以来、十分に論じられてきたように見えるが、自由港そのものについては、まだまだ研究されていない。本研究が、自由貿易と帝国主義という、現代世界の形成と密接なかかわりを持った言葉を再考するきっかけとなれば、幸いである。
人文・社会系(はぐくむ)領域