私は、加賀藩領（現在の石川県・富山県域）を対象に、日本近世の地域社会構造とその支配・運営を担った地域有力者＝十村の研究に取り組んでいます。稲盛財団の研究助成を受けることができて、こうした研究課題に取り組む上で不可欠な十村が残した文書類を多数撮影することができ、またこれまで刊行されてきた関係資料を収集できました。加賀藩領は広大であるため、こうした文書や関係資料は膨大かつ広範囲に存在します。そのため、今回の助成によって築くことができた研究基盤は、長く私の研究上の財産になるもので、大変ありがたく思っています。加賀藩領社会と十村の研究を進めることで、長期に安定して展開した日本近世社会の特質を解明し、広く人類史的な視野で位置づけていきたいと考えています。
人文・社会系領域
