山本 健人 Kento Yamamoto

北九州市立大学法学部准教授※助成決定当時

2023稲盛研究助成人文・社会系

採択テーマ
宗教団体からの離脱の権利に関する憲法学的探求
キーワード
研究概要
この研究の目的は、日本国憲法の下で、宗教団体からの離脱の権利(right of exit)をどのように構成することができるかを明らかにすることです。
この研究では、信教の自由が当然に保障する改宗の自由が事実上行使不可能になってしまうような特定の状況下を想定しています。具体的には、離脱の権利の基礎理論的研究を行ったうえで、①日本国憲法が実質的な離脱の権利を保障するのか、②政府が離脱の権利を具体化するために離脱支援を行うことはどの程度許容されるのかを検討します。また、離脱の権利の発展可能性についても考察します。

助成を受けて

この研究に助成いただき大変ありがとうございます。理論的にも実践的にも重要な問題だと思っていますが、センシティブな内容を含むので慎重に検討できればと思います。

研究成果の概要

宗教団体からの離脱の権利に関する憲法上の構成可能性と、国家による支援の限界について調査し、日本国憲法の下で離脱の権利を検討するためのいくつかの理論的前提について整序した。第一に、自己決定権の一内容として構成することには理論的困難があるという結果が得られた。第二に、信教の自由と児童虐待の関係や、内心の自由に関する憲法19条・20条の整理を通じて、信教の自由と(宗教団体からの)離脱の権利に関する理論的枠組みを明らかにした。第三に、離脱の権利を検討するにあたって、宗教2世を支援する弁護団との意見交換により、親の宗教的教育権の憲法的整理の重要性が確認された。


山本健人 (2023年12月)「宗教を背景とした児童虐待と法の枠内での信教の自由」法学館憲法研究所WEBオピニオン


山本健人 (2023年)「日本国憲法が信教の自由を規定することの意味」『法学教室』 515号46頁以下 


山本健人 (2024年)「憲法上の自己決定権に関する覚書」『立教法学』第111号313頁以下


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