社会科学分野に助成をしてくださることに深く感謝しています。助成を得て研究を進展させ、海外にも積極的に発信して行きたいです。
気候変動枠組条約における議定書の一つである京都議定書は、先進国(附属書Ⅰ国)について、数値化された二酸化炭素削減目標を、国ごとに、一定の期間を区切って、設定しており、そして、遵守委員会に、促進部に加えて強制部という部門を設け、第一約束期間(2008-2012)に数値目標を達成できなかった場合、超過分の1.3倍を、第二約束期間(2013-2020)の排出枠から差し引くこととされている。さらに、強制部の委員は法律関係者であることが要求されている。申請者が条約交渉過程を分析したところ、そこにおいて、米国が、京都議定書は二辺的な約束の束であり、それゆえに、他のすべての国は数値目標の違反について条約上責任追及できる(通常の責任追及以上に、1.3倍という懲罰的な責任追及も行うことができる)、そしてそれゆえに、強制部の委員は法律関係者であり、強制部における手続は対決的で、準司法的なものでなければならないと主張していた。京都議定書はこうした米国の主張を受け入れるものとして成立した可能性がある。
人文・社会系領域