
東日本大震災後も、日本では災害が多発しています。近年では、県や市を跨いだ「越境避難」となるケースも増加し、元の地域コミュニティと広域避難者をどのように繋いでいくのかという点や、避難元地域の復興の担い手の流出が課題となっています。本研究の「通い復興」は、福島原発事故だけではなく、こうした他の災害復興を検討する際にも共通する視点となるでしょう。被災された方々、被災した地域の復興に寄与できるような研究となるよう、尽力したいと思います。
本研究は、福島第一原発事故後の避難について、避難先と避難元の地域を往来する「通い」という営みに着目し、なぜ避難者は避難元の地域に通い続けるのか、質的社会調査によりその意味と葛藤を検討した。福島県浪江町の伝統産業である大堀相馬焼は、窯元の避難先で製造が再開された。しかし、避難指示解除後も放射能汚染に対する不安は継続し、帰還は進んでいない。こうしたなか、窯元による「通い」は地場産業の再興を支える営みとなってきた。本研究によって、「通い」は帰還に向けた手続き的なものではなく、原発事故により分断された人生や地域との関係を再びつなぎ直す実践として理解された。
望月美希 (2024)「人と『土地』との関わりを考える ――災害と避難・移転の経験から――」現代社会学理論研究 第18号、4-16 https://doi.org/10.34327/sstj.18.0_4
高木竜輔・佐藤彰彦・市村高志・横山智樹・山本薫子・金井利之 (2025)「原発事故からの復興における富岡町民の生活と将来に関する意識調査」人間学論究(尚絅学院大学紀要) 7号、35-78
横山智樹 (2025)「若者世代における原発事故の被災経験と『ローカルなもの』の意味」人文学報(東京都立大学紀要) 521巻1号、105-129
人文・社会系領域
