綱島 洋之 Hiroyuki Tsunashima

大阪公立大学都市科学・防災研究センター特任講師※助成決定当時

2025稲盛研究助成人文・社会系

採択テーマ
園芸療法の現象学―実践者の主観的経験の積極的評価による「障害の社会モデル」の適用
キーワード
研究概要
障害に伴う困難の原因は本人を取り巻く社会的多数派の側にあるとする「社会モデル」を、国際社会が重視しつつある。これを園芸療法に適用するためには、療法士が対象者に働きかけるという、これまで自明視されてきた一方通行の二元論的モデルから脱却する必要がある。ひとつの突破口は、園芸療法士たちが実践過程で自らが対象者から働きかけを受けていることを自覚しているという事実である。その主観的にしか語ることのできない経験の意義を評価することにより、園芸療法が社会的多数派にどのような働きかけができるかを検討する。

助成を受けて

EBP(エビデンスに基づく実践)という考え方が「○○療法」という名が付く分野で興盛している。そのほとんどが対象者にどのような変化がみられたかという観点を前提としているが、本研究は園芸療法士たちが園芸の持つ力を信じて対象者に敬意を抱くようになる過程に着目する。かつて参加型開発の文脈で語られていた「変わるべきは私たち」というスローガンの意義を再確認することになろう。今回いただけた人間と植物の関係に新しい光を当てる機会を最大限活用したい。

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