安達 知郎 Tomoo Adachi

京都教育大学大学院連合教職実践研究科准教授※助成決定当時

2024稲盛研究助成人文・社会系

採択テーマ
教師による倫理綱領作成を支援するプログラムの開発、および効果測定
キーワード
研究概要
専門職倫理とは、個人の観点からは「具体的な倫理的問題を体系的に考える力」、社会的観点からは「専門職と社会との間で対話的に構成されるルール」であると考えられます。そして、専門職倫理が具体化されたものが、倫理綱領であると考えられます。しかし、日本には教師の倫理綱領が存在しません。本研究の目的は、倫理綱領を教師自らが作るというプログラムを開発することです。本研究では、プログラムに参加した教員が自らの専門職倫理、専門性に気づいていくこと、さらには、教育と社会との間に新たな対話が生まれることを目指します。

助成を受けて

私の専門は心理療法で、教育学ではありません。しかし、心理療法を通じて学んできた対話は、教育学においても非常に重要であると考えています。本研究のポイントも対話です。私自身、本研究を通じて、教師の方々だけでなく多くの方々と対話したいと思います。

研究成果の概要

倫理綱領は専門職の専門性、倫理を具現化したものである。そこで本研究では、教師が自らの専門性、倫理に対する理解を深めることを目指して、教師を対象とした倫理綱領作成プログラムを開発した。このプログラムは1回90分全15回から成り、教師自身が自ら考えること、グループで議論することを重視していた。このプログラムを教職大学院の学部卒院生12名、現職院生8名に実施し、その効果を量的、質的に測定した。結果、学部卒院生はグループで議論することを有意義なものとして体験し、教師の主体性、能動性に気づくことができた。また、現職院生はグループで議論することに難しさを体験する一方で、教師の社会性、社会的意義に気づくことができた。今後はグループでの議論がより豊かなものになるよう、プログラム内容の修正、グループ分けの工夫が必要であると考えられる。


領域が近い研究者を探す

人文・社会系領域