私の専門は心理療法で、教育学ではありません。しかし、心理療法を通じて学んできた対話は、教育学においても非常に重要であると考えています。本研究のポイントも対話です。私自身、本研究を通じて、教師の方々だけでなく多くの方々と対話したいと思います。
倫理綱領は専門職の専門性、倫理を具現化したものである。そこで本研究では、教師が自らの専門性、倫理に対する理解を深めることを目指して、教師を対象とした倫理綱領作成プログラムを開発した。このプログラムは1回90分全15回から成り、教師自身が自ら考えること、グループで議論することを重視していた。このプログラムを教職大学院の学部卒院生12名、現職院生8名に実施し、その効果を量的、質的に測定した。結果、学部卒院生はグループで議論することを有意義なものとして体験し、教師の主体性、能動性に気づくことができた。また、現職院生はグループで議論することに難しさを体験する一方で、教師の社会性、社会的意義に気づくことができた。今後はグループでの議論がより豊かなものになるよう、プログラム内容の修正、グループ分けの工夫が必要であると考えられる。
人文・社会系領域