齊藤 国靖 Saitoh, Kuniyasu

京都産業大学 理学部准教授※助成決定当時

2021稲盛研究助成理工系

採択テーマ
多分散粒子系の階層構造に起因する特異な粘弾性と弾塑性および新しい数理物理学の展開
キーワード
研究概要
コロイドや粉体など、巨視的な大きさをもつ「ソフト粒子」は自然界の至る所に存在し、そのレオロジーや力学特性を理解することは工学や産業において重要です。一般に、ソフト粒子は巨視的な粒子群であるため、熱的な揺動力の影響は受けず、力学的な非弾性力や粘性力によって運動エネルギーを散逸すると言われています。また、高密度状態においてランダムな粒子配置をとることが多く、系全体の変形(アフィン変形)に対し、空間的に不均一な応答を示します。これらの複雑な性質のおかげで、ソフト粒子は物理学の対象としても研究され、非平衡系やソフトマターの物理の発展に大きな役割を果たしてきました。ところで、自然界に存在するソフト粒子の中には、大小様々な大きさが混ざった「多分散性」をもつものもあります。例えば、断層中の土砂の粒径分布は冪分布であることが知られており、滑りや地震との関係など、マクロなレオロジーや力学特性との結びつきには未解明な点が沢山あります。本研究では、この様なソフト粒子の多分散性に注目し、粒径の分布や階層構造を軸として、マクロな粘性・弾性・塑性といった基本性質の理解を目指します。とりわけ、分子動力学シミュレーションを駆使し、ミクロな視点からの定量的な予測や実験結果との対応を重視した取り組みを行います。

ひとこと

ソフト粒子の研究は、まだまだ新しい切り口が沢山あると考えています。物理や数値シミュレーションを使って、日々異なる見方や考え方をするのが楽しみです。

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