澤田 敏樹 Toshiki Sawada

東京工業大学 物質理工学院助教※助成決定当時

2021稲盛研究助成理工系

採択テーマ
繊維状ウイルスからなる液晶性分離膜の構築と高感度バイオマーカー検出への展開
キーワード
研究概要
膜を用いた分離技術は、様々な分野で欠かすことのできない技術と言えます。本研究では、遺伝子工学により自在に機能化でき、さらに生体高分子でありながら液晶配向するほど規則的に集合化する繊維状ウイルスを素材として水に不溶な膜を構築することで、望みのバイオマーカーを捕捉できる高機能な分離膜の創製を目指します。ウイルス自身の機能やその集合構造を工学的に設計・制御して分離膜素材として利用することで、望みのバイオマーカー分子の選択的な捕捉が可能な分離膜の構築へと繋がると期待されます。

ひとこと

本研究を通じて、材料素材としてのウイルスの有用性を明らかにしたいと思っています!

研究成果の概要

本研究では、夾雑環境の中から望みの分子のみを迅速に分離して回収・除去できるような分子選択的な分離膜の構築を目指し、繊維状ウイルスの一種であるM13ファージを素材として構築することを目的とした。ウイルスを不溶化して膜として利用するため、界面重合によりファージ膜を構築した。ファージ膜の特性を評価した結果、ファージが配向して密に集合化しており、その結果として小さな分画分子量をもつことがわかった。機能性ペプチドを導入したファージを用いて分子選択的な分離を検討した結果、イオンのような極めて小さなサイズであってもペプチドの分子認識に基づいて高選択的な分離が実現されることが明らかとなった。また、界面を利用した新たなファージの集合化手法も確率し、分離膜素材としてのファージの有用性を見出した。


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