榮永 茉利 Mari Einaga

大阪大学大学院基礎工学研究科助教※助成決定当時

2023稲盛研究助成理工系

採択テーマ
室温に近い超伝導転移温度をもつ3元系水素化合物の探索
キーワード
研究概要
常圧力下では超伝導を示さない物質であっても、高圧力をかけることによって超伝導体となることがあります。その中でも、水素や水素を多く含む物質は高圧下で高温超伝導体となることが期待されていました。近年では、100万気圧を超える超高圧力下で硫化水素やランタン水素化物などの2元系水素化合物が高温超伝導体となることが発見され、これまでの超伝導転移温度の記録を大きく更新しました。
本研究では、新しい3元系水素化合物を合成し、室温にせまる超伝導転移温度を持つ新規高温超伝導体の発見を目指します。

助成を受けて

稲盛財団研究助成にご採択いただき、心より感謝申し上げます。
本研究では、0.2カラット程度の大変良質なブリリアントカット状のダイヤモンドをふたつひと組で使います。物質はダイヤモンドのキュレットと呼ばれる部位で加圧されますが、超高圧発生のためにとても小さい面積にしなければならないため、試料の大きさも5ミクロン程度となり、職人芸的な実験です。また、ダイヤモンドは超高圧下で割れてしまうので消耗品です。本研究助成のご支援によって、研究をより進められることと思います。

研究成果の概要

本研究では、室温超伝導体の実現を目指し、高圧下で3元系水素化物の新規水素化物の合成を試みた。特に、CaBH8を目的に、3元系および4元系水素化物を出発物質とし、その場観察放射光粉末XRD・電気抵抗の同時測定を行った。出発物質として3元系水素化物Ca(BH4)2を水素化したところ、カルシウムがfcc構造で並ぶ新しい水素化物CaBHx(x=5–6)であることが示唆された。この物質は超伝導を示さなかったものの、金属的な電気伝導をもち、出発物質より水素含有量の多い物質が合成できたと考えられる。また、Diasらの特許手法で窒素ドープLuHxの再現を試みたが、室温超伝導は観測されなかった。


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