日比谷 由紀 Yuki Hibiya

東京大学 大学院総合文化研究科助教※助成決定当時

2022稲盛研究助成理工系

採択テーマ
太陽系誕生環境の謎への挑戦:希ガス同位体を用いた原始太陽系円盤の温度構造と近傍星の解明
キーワード
研究概要
我々の太陽系の起源と進化を探るためには、その最小構成単位である核種に着目して、太陽系誕生環境を化学的に解明する必要があります。本研究では、既存の希ガス質量分析計を改良することで、隕石の超高感度希ガスXe同位体比分析を実現し、短寿命核種ヨウ素129の太陽系初期存在度を決定します。結果を他の隕石の既存値や最新の核合成計算と比較することで、原始太陽系円盤の温度範囲と原始太陽系近傍星の種類を決定することを目指します。

助成を受けて

目の前の数センチ大の隕石から、約46億年も昔の化学進化に触れることができることが、宇宙地球化学研究の醍醐味です。本助成による研究成果を通じて、宇宙地球化学の発展と人類の知的財産に貢献できるように、また、このような研究の醍醐味を人々に伝えていくことができるように、今後もより一層努力していきたいと思います。

研究成果の概要

本研究における隕石中の希ガス同位体の分析により、太陽系形成後 5000万年程度の時期までは、木星集積領域よりも外側の領域において数百℃程度の温度条件が局所的あるいは広域的に存在していたということ、そしてそれ以前の原始惑星系円盤では凝縮温度の低い同位体が均質に分布していたことから800℃以上の高い温度状態が保持されていたことが明らかになってきました。


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