高井 淳朗 Atsuro Takai

物質・材料研究機構高分子・バイオ材料研究センター主任研究員※助成決定当時

2024稲盛研究助成理工系

採択テーマ
近赤外光電変換を実現するπ共役分子のワンステップ合成・高密度集積化
キーワード
研究概要
近赤外光の吸収や発光を示すπ共役分子は、高い生体親和性をもったセキュリティセンサーや近赤外光電変換など高付加価値な機能を有する革新的な電子デバイスへの応用が期待できます。しかし、π共役分子の合成・精製プロセスの煩雑さや薄膜上における集積化の困難さがボトルネックとなってきました。本研究では、独自に見出した電子受容性π共役分子とアミンとの無触媒クリック反応に基づき、800nmよりも長波長側の光を吸収するπ共役分子を有機半導体層とする有機薄膜デバイスの簡便な作製法を確立することを目指します。

助成を受けて

π電子系分子を独自のクリック反応で機能化し、ユニークな有機材料の創出を目指しています。盛和スカラーズソサエティの一員としての責任と誇りを胸に刻み、研究に邁進したいと思います。

研究成果の概要

近赤外光を吸収・発光し、かつ親水性置換基を導入したペリレンジイミド(PDI)の固体を還元剤を含む水溶液表面に浮かべ還元すると、cmスケールの自発的なリズム運動性が発現することを見出した。PDIのイミド側鎖や分子配向性を系統的に変えると、自己駆動性も顕著に変化した。本研究により、化学反応を介して化学エネルギーを巨視的な運動エネルギーへと変換する非平衡系を分子化学的にデザインするための重要な知見が得られた。


Lara Rae Holstein, Nobuhiko J. Suematsu et al., (2024) Reduction-Induced Self-Propelled Oscillatory Motion of Perylenediimides on Water Angewandte Chemie International Edition Vol.63 (46) https://doi.org/10.1002/anie.202410671


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