前田 拓也 Takuya Maeda

東京大学大学院工学系研究科講師※助成決定当時

2024稲盛研究助成理工系

採択テーマ
新奇ヘテロ接合を利用した窒化物半導体高電子移動度トランジスタに関する研究
キーワード
研究概要
窒化ガリウム(GaN)系高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、高耐圧・低損失・高周波動作可能など優れた特性を有しており、パワーデバイスや高周波増幅デバイスとして研究開発が活発化している。今後更なる実用化に向けて、劇的な高性能化や新機能発現のために新規電子材料の導入が鍵となる。窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)は強い分極や強誘電性、高い誘電率といった魅力的な物性を有している上、エピタキシャル成長によってGaN系デバイスに融合できる。本研究では、ScAlN/GaNヘテロ接合の高品質化に基づく物性解明と電子デバイス試作実証に取り組む。

助成を受けて

この度は2024年度稲盛研究助成に採択いただきまして誠にありがとうございます。ご審査いただきました先生方、稲盛財団の皆様に心より御礼申し上げます。良い研究ができるよう頑張ります。

研究成果の概要

本研究では、GaN上スパッタリング成長ScAlNの構造特性および光学物性の評価に取り組みました。X線回折(XRD)や原子間力顕微鏡(AFM)による測定・観察により、原子レベルで平坦かつ急峻な界面が形成されていることを確認しました。また、GaNと擬似格子整合してコヒーレント成長していることもわかりました。Sc組成増加につれてc軸格子定数が増加し、GaN上に歪みを持って成長していることがわかりました。分光エリプソメトリーによって屈折率と消衰係数の評価も行いました。Sc組成増加につれて屈折率が増加し、消衰係数は長波長側にシフトすることがわかりました。消衰係数の波長依存性から光学的なバンドギャップを求めたところ、Sc組成6-14%付近でバンドギャップ5.4-5.7 eV程度であり、Sc組成増加につれて減少することがわかりました。これらの結果はScAlN/GaN光電子デバイスの研究発展に向けて有用な知見であります。



T. Maeda et al. (2024) Structural and optical properties of epitaxial ScxAl1−xN coherently grown on GaN bulk substrates by sputtering method Applied Physics Letters 125 doi:10.1063/5.0213662


T. Maeda et al. (2024) Characterization of ScAlN/GaN Toward Electronic Device Application IEEE BiCMOS and Compound Semiconductor Integrated Circuits and Technology Symposium (BCICTS) doi:10.1109/BCICTS59662.2024.10745675


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