古川 可奈 Kana Furukawa

大阪大学エマージングサイエンスデザインR3センター特任助教※助成決定当時

2025稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
進化的に保存された気管組織ジャバラ様構造形成メカニズムの解明
キーワード
研究概要
肺呼吸を行う動物にとって、空気を肺に送る唯一の通り道である気管の管腔構造は、生命維持に直結する。気管は気管軟骨が等間隔で並ぶジャバラ様構造を持ち、この構造によりどんな体勢下でも気管の管腔構造は維持される。しかし、ジャバラ様構造形成メカニズムは未解明である。申請者はこれまでの研究で、哺乳類・鳥類・爬虫類に共通して存在しうるジャバラ様構造形成メカニズムを発見した。そこで本研究では、力学的解析と分子生物学的解析を組み合わせて、進化的に保存された気管組織ジャバラ様構造形成メカニズムの解明に挑む。

助成を受けて

普段あまり意識されず当たり前に存在している気管という組織ですが、その構造は実によく出来ていてとても美しいとさえ感じます。気管軟骨は爬虫類以降の動物が有している進化的に保存された組織であり、さらに哺乳類では、気管軟骨の形に個体差があるのも興味深いです。呼吸器研究者の多くはがんの素地である肺に注目しており、気管の研究は遅れていて、気管組織の形成メカニズムは未解明なところが多いのが現状です。こうした現状を踏まえ、私は、気管組織形成メカニズムの特に気管軟骨組織がいかにして形成されるのかを明らかにしたいと考えております。本研究により気管軟骨組織形成メカニズムが明らかになれば、将来的に、気管軟骨形成不全という先天的疾患患者を助ける新規治療法開発にも繋げられると期待しています。

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