普段あまり意識されず当たり前に存在している気管という組織ですが、その構造は実によく出来ていてとても美しいとさえ感じます。気管軟骨は爬虫類以降の動物が有している進化的に保存された組織であり、さらに哺乳類では、気管軟骨の形に個体差があるのも興味深いです。呼吸器研究者の多くはがんの素地である肺に注目しており、気管の研究は遅れていて、気管組織の形成メカニズムは未解明なところが多いのが現状です。こうした現状を踏まえ、私は、気管組織形成メカニズムの特に気管軟骨組織がいかにして形成されるのかを明らかにしたいと考えております。本研究により気管軟骨組織形成メカニズムが明らかになれば、将来的に、気管軟骨形成不全という先天的疾患患者を助ける新規治療法開発にも繋げられると期待しています。
生物・生命系領域