田口 純平 Jumpei Taguchi

東京大学医科学研究所特任助教※助成決定当時

2024稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
遺伝子全長ヒト化マウスの汎用的作出を実現する基盤技術の開発
キーワード
研究概要
マウスはヒトと99%の類似性を持つゲノムを有し、あらゆる医学・生命科学研究の有用なモデル動物です。一方で、遺伝子発現やタンパクの三次元構造などヒトとは異なる面も多々存在することから目的のマウス遺伝子領域をヒト遺伝子領域に置換する技術(遺伝子のヒト化)の必要性が指摘されていました。しかしながら、遺伝子のヒト化には数10-100kbに及ぶ広範なゲノム領域の組換えを誘導する必要があり、現在のところ汎用的な遺伝子ヒト化技術は確立されておりません。本研究では、高い相同組換え効率をもつES細胞に着目することで100kbを超えるゲノム領域を対象とした遺伝子全長ヒト化技術の開発を目指します。

助成を受けて

このたびは稲盛研究助成にご採択いただき大変光栄に思っております。また選考委員である著名な先生からも激励のメッセージを賜り身の引き締まる思いです。貴財団の助成をもとに研究を飛躍させ、本研究の成果を微力ながら医学・生命科学研究の進展に貢献できるよう努めていきたいと思います。

研究成果の概要

本研究は、遺伝子全長ヒト化マウスの汎用的作出を実現する基盤技術の開発を目的として実施された。申請者はES細胞に対する2段階のゲノム編集を介した新規手法を考案し、ヒト全遺伝子の93%をカバー可能な200kbp長を対象とした遺伝子全長ヒト化技術の開発に成功した。加えて、実験を行った遺伝子座すべてで10-15%程度のヒト化が誘導できており、従来の報告と比較して50倍以上の効率の向上に成功し、汎用性にも優れていることを示した。


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