林 克磨 Katsuma Hayashi

京都大学大学院医学研究科特定助教※助成決定当時

2024稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
感染の場の異質性を加味した感染症流行動態モデルの構築
キーワード
研究概要
感染症の流行動態を深く理解するため、年齢、地理、免疫状態など異質性を考慮したモデル構築が不可欠である。COVID-19の流行で、このような異質性を加味したモデルの重要性が再確認された。日本はパンデミック初期に、クラスターの性質に着目をした。それは集団感染が生じた場に焦点を当てた対策であった。しかし、感染の場の異質性が感染症伝播にどの程度影響するかは明確ではない。本研究では、感染の場の異質性をモデルに取り入れ、その影響を分析する。また、COVID-19とインフルエンザの伝播メカニズムの違いの解析も行い、感染の場の情報が、将来の感染症サーベイランスにどの程度重要であるかを定量的にしめすことも目標とする。

助成を受けて

稲盛助成金を通じて築かれる学際的なネットワークは、複雑化する社会問題に対処する強力な武器となると思います。感染症数理モデルの視点から科学の発展に寄与できるよう精進いたします。

研究成果の概要

本研究ではCOVID19のクラスター発生状況を解析し、場所による異質性を定量化し、特定の場所への介入が流行全体に与える影響を検討した。因果探索的統計モデルを用い、クラスター通しの因果の向きを同定した。続いて因果の向きを仮定した上で、クラスターによる次世代行列の定量化を行なった。COVID19に関しては飲食を伴う場での感染が各流行の波の前半に起き、流行を牽引したことがわかった。特定の場への強い介入は時に人口全体への均一な介入と同等の効果を示す可能性を示唆した。


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