この度は稲盛財団の研究助成に選んでいただき、大変光栄に思います。本助成を励みに新たなことに挑戦し、細胞内ダイナミクスを数理の視点から変革していきたいと思います。
オートファジーはオートファゴソームを介した細胞内分解システムであり、細胞内恒常性維持にとって重要である。オートファゴソーム形成はオートファジーにおける基本的なプロセスであるにも関わらず、これまでその特徴的な形態変化は体系的かつ定量的には記述されていなかった。そのため、その根底にある物理学的基盤はほとんど解明されていなかった。
本研究ではオートファゴソームの形成過程を三次元電子顕微鏡法により網羅的かつ統計的に調査することで、その標準形態を決定した。この形態的特徴を理解するために、膜の曲げ弾性エネルギーに基づく数理モデルを構築した。得られた数理モデルは、電子顕微鏡法で観察されたオートファゴソーム形成時の形態を定量的に再現した。また、数理モデルは形成中のオートファゴソームの開口部を安定化させる因子を予測し、Atg20-24複合体がこの制御因子であることを発見した。数理モデルは、このAtg20-24複合体欠損時のオートファゴソーム形成の形態変化を説明する。
本研究成果は、一見複雑に見えるオートファジーの膜動態が、単純な物理機構に基づく理論モデルによって解析できることを示唆している。今後、オートファゴソーム形成機構のさらなる理解につながると期待される。
Yuji Sakai, Satoru Takahashi et al. (2024) Experimental determination and mathematical modeling of standard shapes of forming autophagosomes Nature Communications 15 (91) doi: 10.1038/s41467-023-44442-1
Tetsuya Kotani, Yuji Sakai et al. (2023) A mechanism that ensures non-selective cytoplasm degradation by autophagy Nature Communications 14 (5815) doi: 10.1038/s41467-023-41525-x
2025年度InaRISフェロー紹介動画を公開しました!
自然科学系と人文・社会科学系の研究者を支援する「稲盛研究助成」の助成金贈呈式と、これまでの助成対象者の交流を目的とした「盛和スカラーズソサエティ(3S)」の交流会が19日、ザ・プリンス京都宝ヶ池(京都市左京区)で開かれました。
3月7日、稲盛財団は 2025年度稲盛研究助成の対象者50名を発表しました。405件(自然科学系319件、人文・社会科学系86件)の応募から厳正な審査を経て選ばれた、自然科学系40件、人文・社会科学系10件に、1件当たり100万円を助成します。研究に真に必要な経費であれば使途に制限はありません。
稲盛研究助成のこれまでの対象者が参加する「盛和スカラーズソサエティ(3S)交流会」。今年も昨年に続いてポスター発表で活発な議論が交わされました。交流会を終えたばかりの発表者と今年度の助成対象者の方に、感想を聞いてみました。
3月8日、稲盛財団は2024年度稲盛研究助成の対象者50名を発表しました。408件の応募から厳正な審査を経て選ばれた、自然科学系40件、人文・社会科学系10件に、1件当たり100万円を助成します。
稲盛財団は、5月23日、2023年度の稲盛科学研究機構(InaRIS: Inamori Research Institute for Science)フェローシップの申請受付を開始しました。
3月10日、稲盛財団は2023年度稲盛研究助成の対象者50名を発表しました。394件の応募から厳正な審査を経て選ばれた、自然科学系40件、人文・社会科学系10件に、1件当たり100万円を助成します。
私たちの食生活になじみの深いワカメやコンブなどは褐藻と呼ばれる海藻の仲間です。今回は、その褐藻の生殖や発生について研究をしている北海道大学の長里千香子氏の研究所にお邪魔し、詳しいお話を伺いました。
「稲盛科学研究機構(InaRIS)フェローシップ」の運営委員やフェロー同士が研究内容について議論を交わす「アドバイザリー・ボード・ミーティング」が10月4日、稲盛財団(京都市下京区)にて開催されました。 I...
大阪公立大学の弓場英司氏は、高分子化学や有機合成化学の手法を使ってDDSのための、微小な「脂質ナノカプセル」を開発しています。いったいどのようなカプセルなのでしょうか。詳しいお話を伺いました。
3月11日、稲盛財団は2022年度稲盛研究助成の対象者50名を発表しました。411件の応募から厳正な審査を経て選ばれた、自然科学系40件、人文・社会科学系10件に、1件当たり100万円を助成します。
私たちの日々を彩ってくれる音楽を、学術的に研究していくことでどのようなことがわかるのでしょうか。文学や社会学、統計学など、他の分野の手法を取り入れながら音楽の裾野を広げる研究を行う九州大学の西田紘子准教授に、音楽学研究の魅力をお聞きしました。
7月1日、2022年度の稲盛研究助成の申請受付を開始しました。
稲盛財団は、2021年5月21日、2022年度の稲盛科学研究機構(InaRIS)フェローシップの申請受付を開始しました。今年度の募集対象分野は「物質・材料」研究の前線開拓です。
生物・生命系領域