氏原 嘉洋 Yoshihiro Ujihara

名古屋工業大学大学院工学研究科准教授※助成決定当時

2023稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
鳥類心筋細胞の高出力を生み出す仕組みの解明
キーワード
研究概要
心臓は、生命の象徴であり、全身に酸素と栄養を供給する血液ポンプです。恐竜の子孫である鳥類は、哺乳類と同様に高い心臓ポンプ機能を誇ります。鳥類と哺乳類の心臓は、臓器レベルの形態には類似点が多いのに対し、臓器を構成する心筋細胞レベルでは構造や形態が大きく異なります。本研究では、鳥類が独自に進化させてきた高い心臓ポンプ機能の仕組みを解明することを目的とします。将来的には、得られた知見を心不全治療に還元することを目指します。

助成を受けて

この度は栄誉ある稲盛財団を賜り,誠に光栄に存じます.哺乳類以外の動物の心臓の仕組みを理解し,得られた知見を医療に還元することを目指します.

研究成果の概要

鳥類の心筋細胞は、両生類や爬虫類、さらには重篤な心不全時の哺乳類の細胞と共通して、構造的には高いポンプ機能を支えるのに適したタイプとはいえません。しかし、鳥類はそれにもかかわらず、正常な哺乳類に匹敵する高い心臓機能を発揮しています。本研究では、鳥類が細胞内カルシウム濃度を時間的・空間的に巧みに制御することで、独自かつ効率的な拍動を実現していることを明らかにしました。これは、単なる構造の違いを超えて、進化的に獲得された高度な機能的適応であると考えられます。


氏原嘉洋 (2024) 心筋細胞の特殊膜構造から探る哺乳類と鳥類の心臓の違い: カルシウム濃度管理と心臓の「しなやかさ」 49 (2), 82-86 doi: 10.5360/membrane.49.82


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